謎の王妃の血筋、甲斐美嶺

シャトレーゼで期間限定 甲州ヌーヴォー生ワインを買って、ふと棚を見ると「甲斐美嶺」のワインが!
甲斐美嶺は、「影の主役 甲州三尺」の時に、しれっと系図に書かれていた品種で、生まれは山梨県果樹試験場。甲斐と名前につく、甲斐ノワールや甲斐ブランと同じお家の出です。美嶺は山梨の美術館に所蔵されているミレーと美しい嶺という意味からだそうです。
交配は、甲州三尺×レッド・クイーン。

甲州三尺
甲州三尺

試験場のサイトには生食醸造兼用種とあるけれど、ワインでは見かけたことないし……と思ってたんだけど、シャトレーゼのベルフォーレ・ワイナリーでは数年前から造ってたみたい。でも、ここだけっぽいレア品種ではあります。
山梨では、ぶどう狩り情報に「甲斐美嶺」があることもあるんだけど。

母品種のレッド・クイーンについては、ノーマークだったために意識していなかったのですが、今回、調べてみると、どうやら国内での交配品種であることが判明。(アメリカぶどうと書いてあるサイトもありますが)
VICSのデータベースでサーチすると、IKAWA633のmutation(変異種)とのこと。
IKAWAといえば、藤稔の親品種のIKAWA682と同様、ピオーネの生みの親の井川秀雄さんの名前を冠した品種。1000種ものぶどう品種の交配育成を行った方で、今でも「井川ぶどう」として、協会があったり、勉強会があったり……されるみたいです。

ぶどうの系図

ちなみにIKAWA682は、データベースで系図が公開されているのだけれど、633のほうにはありません。井川さんの出身地、伊豆の国市のサン・ヴァンサンファームのサイトには、「ピオーネの故郷」として、井川さんの紹介ページもありますので、そちらをご覧下さいね。ピオーネと言えば、広島の三次! と思ってたんですが、故郷は静岡の伊豆だったんですねー。原木も残ってるそうです。

ということで、系統がハッキリしないレッド・クイーンですが、これも山梨のぶどう狩り情報にはいくつか出てきます。
「適度な甘みがあり、巨峰に似た雰囲気」「赤系の巨峰」で4倍体。FOXYもありますから、巨峰やピオーネに近い遺伝子を持つのでは? と思われます。上記の図では書き忘れちゃってるけど、巨峰も4nです。

これに、2倍体の甲州三尺を交配していますから、甲斐美嶺はナガノパープルと同じく3n。種ができません。(ちなみに、上記の図は情報が古くナガノパープルの親が巨峰とロザリオビアンコになってますが、のちに「リザマート」だと判明しています。って、2010年に長野県果樹試験場で発表されてるのにな。)