アリカント(テ)の正体は?

サン・ローランを巡る交配種の表の中で、ちょこっと端っこに入っていた「アリカンテ・ブーシェ(Alicante Bouchet)」。日本では、栽培されているかどうか、今のところ不明なのだけれど、全世界に目を広げれば、そこそこヒットするぶどう品種。
別名、ガルナッチャ・ティントレラ(Garnacha_Tintorela)と呼ばれてスペインのほうでよく作られているみたい。
この、アリカンテ・ブーシェの一番の特徴は、中まで赤い黒ぶどうだということ。ティントレラ=染め物師という意味なので、繊維の染色用だとか、ポリフェノール強化のワインだとかに使われているとか、いないとか……。

主要部分の出典は、大塚製薬株式会社の所有するリッジ・ヴィンヤーズのサイトの中にある立花峰夫さんのコラム「アリカンテ・ブーシェ」です。

ビッグ・レッド・ビースト アリカンテ・ブーシェ [2019] LGI <赤> <ワイン/ラングドック・ルーション>

価格:1,293円
(2020/9/13 12:40時点)
感想(0件)

ただ、日本で「アリカント(アリカンテ)」というと、少し事情が違ってきて、マスカット・ベーリーAの生みの親でもある川上善兵衛さんの交配種「ベーリー・アリカントA」のことを指していることがあります。名前をみるとわかる通り、北米系交配種ベーリーとこのアリカンテ・ブーシェを交配させてできた品種です。
Alicante Bouchet をアリカント・ブスケと読ませていますが、同じでしょう。
ベーリー・アリカントBもあったのですが、こっちは残らなかったみたいですね。

ただ、「アリカンテ」は、スペインの地名でもあり、グルナッシュ=ガルナッチャ=カンノナウの別名とも言われています。

ということで、複数のぶどう品種を使った日本ワインに「アリカント」「アリカンテ」と書いてある場合、いったい、どの品種なのかわからないのですよ……。

グルナッシュ(ガルナッチャ)も、アリカンテ・ブーシェも、どうひっくり返しても、日本ワインで作られている形跡が検索でヒットしないし……。
やっぱり、日本ワインの中で使われている「アリカント(テ)」は、「ベーリー・アリカントA」でいいのかなぁ?

ちなみに、国税庁調査には出ていませんが、「ベーリー・アリカントA」は、国内でそこそこ作られていて、単独品種のワインもヒットします。
うちでも飲んだかなぁ?

追記:日本でアリカントというと、「ネオ・アリカント」という交配種もあるのを忘れてました。山梨果樹試験場の産で、交配は「デラウェア×ベーリー・アリカントA」、ワインは原茂ワインさんから出ています。