日本ワインにおけるヨーロッパ品種

日本ワインだからといって、日本の固有種や交配種のワインばかりではなく、フランスやイタリア、ドイツやスペイン、チリなどでつくられているオーソドックスなぶどう品種からも日本ワインは作られています。
ただし、ヨーロッパとは気候も水も土も違い、栽培するだけでも大変そう。ただ、いろんな栽培方法を工夫したり、仕込みの方法を試行錯誤したりして、美味しいワインができるようになっているようです。
以下、データは国税庁の「 国内製造ワインの概況 」平成29年度調査より。品種名の隣の数字は(受け入れ数量、全量のシェア)

シャルドネ ( 1322t 5.7% )

まず、赤白合わせたヨーロッパ品種のなかで、一番、受け入れ数量(ワインにするために使われている)が多いのが、このシャルドネです。シャルドネの基本情報としては、フランス・ブルゴーニュ地方出身、ピノ種とグアイス(グエ)・ブラン種の自然交配で生まれたもの。白ワインの女王とも呼ばれて、世界各国で栽培されています。
ワインにすると、栽培地や栽培方法によって、多種多様な色合いが出てくるとのこと。環境への適応性も高いというところから、日本でも、全国で栽培されているようです。
甲州種のほとんど(約95%)が、山梨県で栽培されているのに比べて、シャルドネは第一位の長野県でさえ、そのシェアは30%弱。上位3県(長野・山形・兵庫)を合わせても、59%。残りの40%の内訳は不明ですが、どこかに特化することなく、全国で栽培されていることが推測されます。ランダムに10県くらい検索かけてみましたが、だいたいヒットします。

メルロー(1295t 5.6%)

ついで、シェアの多いのが、赤品種のメルローです。フランス・ボルドー地方が原産。濃い色で味も深く、一度、ワインのイベントで一粒食べさせてもらったことがありますが、甘くてじゅっとするような味でした。(←とてもソムリエにはなれない表現)元をたどれば、マドレーヌ・ノワール・デ・シャラントとカベルネ・フランとの自然交配種。
メルローもシャルドネ同様、環境適応力が強く、比較的どんなところでも良く育ち、たくさん実をつけるので、全世界、もちろん、日本でも全国的に生産されていて不思議ではありません。長野、山梨、山形の順に多く生産されていて、70%超を占めますが、他の品種では上位の県に独占されているものも少なくないことを見ると、広範囲に栽培されているとみて良いようです。単独品種(セパージュ)でのワインだけでなく、ブレンド用(アッサンブラージュ)にもよく使われています。

カベルネ・ソーヴィニヨン (463t 2.0%)

メルローと並ぶ、代表的な赤ワイン品種。ただ、日本ではメルローほど育てやすくはないようです。古くから栽培されている品種だけれど、DNA解析によってカベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの自然交配によってできた種だと判明。タンニンも多く、色も味も濃くて、そのポテンシャルの高さから、栽培量は世界一。
日本では、山梨・兵庫・山形での栽培が多く、シェア約70%。メルローと同じく全国展開の模様。日本のカベルネ・ソーヴィニヨンは、若干、あっさりしているようです。

ケルナー (287t 1.2%)

トロリンガーとリースリングの交配種。 ドイツ生まれの白ワイン品種。北海道が83%のシェアを持ち、長野と新潟、上位3県で94%のシェア。

ツヴァイゲルト (247t 1.1%)

オーストリアの代表的赤ワイン用品種。ツヴァイゲルト氏によって1922年に交配された品種。日本では、北海道がほぼ90%のシェアを持つ。耐寒性を持つ品種だとか。

ピノ・ノワール (213t 0.9%)

古くから栽培されている品種だけれど、病気に弱い。冷涼な気候を好むためか、日本国内では北海道が50%。

ミュラー・トゥルガル (103t 0.4%)

19世紀後半、スイス生まれ。素性については、これまで混乱もあったけれど、DNA解析でリースリングと マドレーヌ・ロイヤル の交配種だと判明したらしい。酸味が少なく、ドイツで一時、大量に生産されたけれど、最近では第三位とのこと。
日本では、白系品種の10位あたりを行ったり来たり。北海道でのシェアが94%。