4つのリースリング

「リースリングの日本ワインって、見ないよねぇ」と言われたので、調べてみることに。リースリングと言えば、ミュラー・トゥルガルと並んで、ドイツの代表的な白ワイン品種。一時期、ドイツワインをよく飲んでいた時期があるので、仄かな上品な香りや甘みを楽しんでいたもの。ミュラートゥルガウについては、北海道などのワインで結構見かけるし、国税庁の29年度でも品種の10位に食い込んでいる(ただ、0.4%ではある)のに。

リースリング

冷涼な地で栽培されていて、土質も選びそうなリースリング、日本国内では北海道とか標高の高いとこじゃないと難しいのかも。WEB検索で引っ掛けるのも、結構難しいのだけど……。
とはいえ、ツイッターの記録を確かめてみると大森リースリング( 秋田県横手市大森地区のリースリング)を使ったものや、その他も飲んでる記録が出てきたから、ちゃんと「リースリング」もつくられていることが判明。確かめてみるもんよね。

もっとも、リースリングそのものより、頻繁に検索で引っかかってくるのは、「リースリング・フォルテ」と「リースリング・リオン」そして、「信濃リースリング」……記録を見ると、これも結構、誤解していたところもあるのだけれど、これらは、リースリングを親にした交配種です。

リースリング・フォルテ

サントリーの登美の丘ワイナリーで1983年に開発されたぶどう品種。親は、日本固有種の甲州三尺とリースリング。甲州三尺は、日本に古来から伝わるとされる6種のぶどう品種のひとつ。古来ぶどうは、甲州・甲州三尺・竜眼・紫葡萄・(水晶葡萄)・(聚楽葡萄)で、このうち現在、栽培されているのは4種のみです。
甲州三尺は長ーい房の葡萄で、本当に91センチとか114センチ(=3尺)あるのかなあとは思うのですが、長くなるために、摘粒が要らないとのこと。たくさん実をつけて、耐病性もあり、いろんな交配種に使われています。ビジュノワールもそうだし、甲斐路や瀬戸ジャイアンツ、シャインマスカットも、元をたどればどこかに甲州三尺が……(ぶどうの系図 見てみてね)

リースリング・リオン

リースリング・フォルテと同じ甲州三尺とリースリングの交配種。親が同じなので、兄弟種ですね。こちらは山梨で開発され、1975年に登録された品種。岩手のエーデルワインさんなどでつくられています。山梨よりも岩手の石灰質の土地に合ったそうで、岩手県内には他にもいくつかつくっているワイナリーがあるようですね。
最近では、 岩手県以外でも 山形の朝日町ワインさん、滋賀県のヒトミワイナリーさん、栃木県のココ・ファーム・ワイナリーさんなどでもつくられています(いずれも自社農園)。

信濃リースリング

マンズワインが1991年に品種登録したぶどう品種。シャルドネとリースリングの交配種です。ソラリスシリーズなどにも使われています。信州=長野のほか、伊豆のほうでも作られているみたいです。

実は、リースリングと名がつかなくても、リースリングを元にした交配種は他にもたくさんありますし、日本の交配種ではないものの、リースリング・イタリコ( ウェルシュリースリング ) (日本国内でも作られています) という品種も! キリがないぜ。それらは、また、別の機会に。