生食用ぶどうでワインを?

ピオーネ

広島県三次市の代表的なぶどうといえば、「黒い真珠・ピオーネ」。生食用の高級ブドウだけれど、さすが産地だけあって、三次ワイナリーでは、ピオーネでヌーボーも作ってるの。
先日、飲んでみたけれど、どちらかというとクールな感じのさっぱり系。
系図を見ると、巨峰とマスカット・オブ・アレキサンドリアの変異種(4倍体)カノンホールマスカットとの交配となっているのだけれど、Wikipediaを見ると「「カノンホールマスカット」がピオーネの親である説は九州大学農学の研究によって否定された」とあって、じゃあ、あなた誰の子? となるわけですよ。
VIVSのデータベースは、巨峰×マスカットカノンホール(MUSCAT OF ALEXANDRIA (4N))。
ま、誰の子であっても、ピオーネはピオーネなんですけどね。
ブリーダーは、静岡県の井川秀雄氏。井川氏の名前は、「藤稔」の親としての「井川682」にも残ってて、藤稔はピオーネ×井川682を親として、藤沢で生まれた品種とか。ワインでは見かけないけれど、神奈川県産のぶどうということか、近場で割と作ってたり。

藤稔

ピオーネのワインというと、この三次ワイナリーのほか、岡山のワインが結構ヒットする。というのも、量的にはピオーネを一番作っているのは、岡山、ついで広島だからでしょう。

ハニー・ビーナスなど安芸津生まれのぶどう

一方、同じ日に行った「せらワイナリー」の代表品種は、「ハニー・ビーナス」。
VIVSで系図を見ると、結構フクザツで、下の系図にも入れてないのだけれど、先祖は巨峰やセンテニアル、コンコード……な感じの白品種。
この品種の出自は、旧農林水産省果樹試験場安芸津支場。今をときめくシャイン・マスカットと同じ研究所生まれです。
今は、名称が、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)のブドウ・カキ研究領域となっていますが、広島県東広島市安芸津にあるのは、変わらないようです。
シャインマスカットの片親が安芸津21号なのは、親も同じ研究所生まれということ。
あと、系図の中では、安芸クイーン、サニールージュも安芸津生まれです。

ぶどうの系図

サニールージュは、都農ワインや栗東ワイナリー(琵琶湖ワイン)から出てるかな?
この間、栗東ワイナリーの浅柄野ヌーボーは飲んだ気がする。
安芸クイーンも、検索すると、そこそこワインにされてる感じ。

兼用ブドウ

使用品種ベスト10に入る、デラウェア、巨峰、そして、生食用としては最近、それほど見かけないけれどベリーA(マスカット・ベーリーA)や甲州、ナイアガラ、スチューベン、コンコード……
この中で、甲州以外は、すべて北米系交雑種だったりということで、前出の「北米品種の日本ワイン」や「北米品種の相関図」でまとめたとおりかなぁ。

もっとも、日本で出回っている生食用ブドウで、北米系の遺伝子が入っていないぶどうはあんまりない。アレキと呼ばれる「マスカット・オブ・アレキサンドリア」、アレキと甲州三尺の交配種ネオ・マスカットを祖先に持つ「瀬戸ジャイアンツ」「甲斐路」くらいのものかも?
マスカット(アレキ)については、海外ではミュスカと呼ばれて、ワインにされているのだけれど、日本ではかなり栽培の難しい品種ということで、稀にしか見かけません。もっとも、ミュスカと日本のマスカットでは用途も違うということから、作り方も違う、見た目も全く違うみたいです。
主要産地は岡山なので、岡山のワイナリーから、マスカット・オブ・アレキサンドリアの日本ワインも出ていないことはないみたいです。一度は飲んでみたいかも。